高級腕時計を所有する意味
祖父は、中学、高校、大学と入学のタイミングで記念の腕時計をプレゼントしてくれた。だが、当時はその価値をあまり理解していなかったと高津さんは語る。
「若者には不釣り合いないい時計を与えられていたんですが、そこまで気に入っていたわけではないんです。まわりの友だちは、流行りのものをつけているのに僕だけクラシックな腕時計。腕時計に何十万円もつかうなんてありえないと思っていました。でも38歳で社長に就任したときに、さらに一桁高い高級時計を贈られた。祖父は『社長になったんだからこれくらいもっておけ』と言うんですが、こんな時計どこにつけていけばいいんだよって(笑)」
クルマが好きで、服やシューズにもこだわる。自らを「昭和的価値観で生きている」と語る高津さんだが、腕時計にはあまり興味がもてなかった。だが祖父から贈られた腕時計をたまにつけるうちに、価値を少しずつ理解するようになっていったという。
「いい時計をつけていると、それだけで気持ちが引き締まる感じがする。若いときにはなかった感覚ですよね。人に見られてどうこうというより、自分のなかから感じるものがある。そう思えるようになって、興味をもっていろいろ調べるようになると、すごく奥深い世界だなと。そこから少しずつのめり込んでいったんです」
