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「過去の財産に頼ることなく、新しい時代にあわせて進化し、未来を創造する」
高津紙器社長・高津俊一郎

2021.04.16

38歳で社長となり、現在5年目。「社員の幸福を追求することが会社の発展につながる。次の世代には10倍くらい良い会社にしてバトンタッチしたいと思っています」
38歳で社長となり、現在5年目。「社員の幸福を追求することが会社の発展につながる。次の世代には10倍くらい良い会社にしてバトンタッチしたいと思っています」

時代は急激に変化している。『CODE 11.59 by Audemars Piguet』は、そんな時代の流れを知っていたかのように発売され、大人気となっている。四国の老舗メーカー、高津紙器の高津俊一郎社長も所有者のひとり。腕時計に象徴される、挑戦し続けるブランドの姿勢に刺激を受けているという。

クラシックでありながら、モダン

春らしい、明るめのネイビーのスーツに、真っ白なシャツとチーフ。タイもソリッドなネイビーで、アイウェア、バッグ、シューズは黒で統一されている。愛媛県四国中央市に本社を置く高津紙器の高津俊一郎社長のファッションはシックかつ清潔感にあふれていた。コーディネイトにさりげないアクセントを加えているのが、左手首につけられた腕時計。バーガンディの「CODE11.59 by Audemars Piguet クロノグラフ」である。クラシックでありながら、モダンな雰囲気も漂うこの腕時計が、老舗メーカーの若き社長にはよく似合っていた。

「この色を選んだのは、赤ワインが好きだから(笑)。もともと派手なものは好きではないので、僕にとっては冒険だったんですが、このバーガンディは黒みがかっているので、あまり悪い目立ち方をしない。スーツはもちろん、休日のカジュアルなファッションでも違和感なく使えるので、最近はこの時計ばかり使っています」

1882年創業の老舗紙器メーカーの5代目。幼少時から祖父に連れられて、パリやロンドンなど、ヨーロッパの都市を訪ねていたという。

「買い物とか連れて行かれるんですが、まだ小さかったのでつまらないなあと思っていました。でもいま思うと、そういう旅のなかでヨーロッパのブランドのことを少しずつ理解していったような気がします。オーデマ ピゲというすごい時計ブランドがあるということもそのころから頭の中に刷り込まれていました」

高級腕時計を所有する意味

祖父は、中学、高校、大学と入学のタイミングで記念の腕時計をプレゼントしてくれた。だが、当時はその価値をあまり理解していなかったと高津さんは語る。

「若者には不釣り合いないい時計を与えられていたんですが、そこまで気に入っていたわけではないんです。まわりの友だちは、流行りのものをつけているのに僕だけクラシックな腕時計。腕時計に何十万円もつかうなんてありえないと思っていました。でも38歳で社長に就任したときに、さらに一桁高い高級時計を贈られた。祖父は『社長になったんだからこれくらいもっておけ』と言うんですが、こんな時計どこにつけていけばいいんだよって(笑)」

クルマが好きで、服やシューズにもこだわる。自らを「昭和的価値観で生きている」と語る高津さんだが、腕時計にはあまり興味がもてなかった。だが祖父から贈られた腕時計をたまにつけるうちに、価値を少しずつ理解するようになっていったという。

「いい時計をつけていると、それだけで気持ちが引き締まる感じがする。若いときにはなかった感覚ですよね。人に見られてどうこうというより、自分のなかから感じるものがある。そう思えるようになって、興味をもっていろいろ調べるようになると、すごく奥深い世界だなと。そこから少しずつのめり込んでいったんです」

「この色を選んだのは、赤ワインが好きだから(笑)。スーツはもちろん、休日のカジュアルなファッションでも違和感なく使えるので、最近はこの時計ばかり使っています」
ロイヤルオークとの出合い

東京出張で銀座に行った際、ある時計店のショーケースに飾られた1本の腕時計に目を奪われた。

「それが初めて買ったオーデマ ピゲの時計です。ロイヤルオークでした。雑誌などで存在は知っていて、のっぺりとした無骨な時計という印象をもっていました。でも実物を見たらまるでちがう。ひとことで言えば、オーラがあった。男っぽいけど上品で、文字盤の輝きとか、ディテールの仕上げとか、すべてが完璧。いてもたってもいられない気持ちになって、その場で購入を決意しました。妻になんて言い訳しようとずっと考えていましたけどね(笑)」

ロイヤルオークを使うようになってからわかったこともある。それはオーデマピゲというブランドと、高津紙器という会社の共通点だ。

「オーデマ ピゲの創業が1875年で現在4代目。僭越ながら、我が社と同じ時代を生きてきたファミリー企業なんです。本業を大事にして自社製造にこだわる。軸がぶれないところも似ていると思い、ますます好きになっていきました」

子どものころ、祖父に連れられてヨーロッパの都市を旅した。「オーデマ ピゲというすごい時計ブランドがあるということもそのころから頭の中に刷り込まれていました」
ふたたびのひと目ぼれ

そしてふたたびのひと目惚れ。ふらりと立ち寄ったオーデマ ピゲのブティックでバーガンディの「CODE11.59 by Audemars Piguet クロノグラフ」に出合う。 “11.59”は、日付が変わる直前の時間を意味する。オーデマ ピゲがまさに時代を変えようと、2019年に満を持して発表した渾身のシリーズだ。

「写真でみたときは、ちょっとクラシックすぎるなと思っていたんです。本物を見たくなって買うつもりもなく店に寄ったら、やっぱりそのクオリティに圧倒された。ロイヤルオークを買ったときは、『ピンチのときには売ればいい』と資産形成の気持ちもあったんです。でもこの時計の場合は、そういう損得勘定はまったくなし。好きだから、欲しいから買った。実物はクラシックどころかむしろモダンで若々しい。深みのあるバーガンディもすごく気に入りました。そしていちばん大きかったのは、オーデマ ピゲというブランドの挑戦する意思を感じたところ。ロイヤルオークという絶対的な主力商品がありながら、未来のために新しい時計を開発する。過去の財産に頼ることなく、新しい時代にあわせて進化し、未来を創造する。それは、いま我が社が抱えている課題でもあります」

高津紙器は、コロナ禍でアイシールドやマスクのインナーシートを開発し、売上を伸ばした。ピンチをチャンスに変え、従来のB to Bのビジネスに加え、B to Cの可能性も広げつつある。

「四国に根を張り、本業を守りつつ、新しいことにもどんどん挑戦する。できれば次の世代までに会社を10倍くらいの良い会社にしてバトンタッチしたいと思っています。オーデマ ピゲほどのブランドが新しい挑戦をしている。この時計をつけていると、自分も頑張らなきゃという気持ちになるんです」

「オーデマ ピゲの創業が1875年で現在4代目。本業を大事にして自社製造にこだわる。軸がぶれないところも似ていると思い、ますます好きになっていたんです」

高津 俊一郎(Shunichiro Kozu)
高津紙器株式会社代表取締役社長。1978年愛媛県生まれ。学習院大学理学部物理学科卒。2001年日立製作所入社。2004年に高津紙器入社、営業を経て、2018年社長に就任。

www.kozushiki.co.jp
Instagram: @kozushiki_official
Clubhouse: @shun1rokozu
Blog: https://ameblo.jp/ebisushikoku/

Produced by

GQ JAPAN

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