LIFESTYLE / MY AP STORIES

「いつかこの時計が似合うような 料理人になりたいですね」
レストラン「KEI」シェフ・小林圭(前編)

2020.03.28

この日の取材で小林氏が着用していたのは、三つ星を獲得した2020年のミシュラン授賞時と同じロイヤル オーク ダブルバランスホイール オープンワーク。
この日の取材で小林氏が着用していたのは、三つ星を獲得した2020年のミシュラン授賞時と同じロイヤル オーク ダブルバランスホイール オープンワーク。

フランス料理の歴史に刻まれる快挙だった。
日本人シェフがはじめて世界一厳しいといわれる「ミシュランガイド フランス版」で三つ星を獲得。渡仏して20年以上、自分を磨き続けてきたレストラン「KEI」の小林圭シェフの手首に着けられていたのは、オーデマ ピゲの時計だった。

時計に負けたくない

「時計に負けたくない」と小林圭シェフは言う。日本人としてはじめて、フランス版のミシュランガイドで三つ星を獲得。歴史的な快挙を成し遂げた彼をして、「“彼ら”が似合う人間になっているかと言われたら、まだ自信がありません」といわしめるのは、オーデマ ピゲの3本の時計だ。

「はじめて機械式時計に憧れたのは10代のときでした。知り合いの料理人が自動巻きの腕時計を着けていて、その魅力を熱く語ってくれたんです。それまでクオーツや手巻きの時計は知っていましたが、自動巻きというのは知りませんでした。もちろん中身のムーブメントがどうなっているかなんて見ることもできない。どんな仕組みで動いているかもわからず、魔法のように感じて、すごいな、かっこいいなと思いました」

時計ブランドの時計

高校1年生のときにテレビで見た三ツ星シェフに憧れ、料理人の道を目指した。1999年に渡仏し、2011年にレストラン「KEI」をオープン。そんな自身の人生を彼は時計に重ね合わせる。

「時計って前にしか進まないじゃないですか。自分も同じです。僕がオーデマ ピゲの時計を選ぶ最大の理由は、時計ブランドの時計だから。145年、時計だけをつくり続けてきたマニュファクチュール。そこには確固としたコンセプトがあり、ブレることもない。自分がこうありたいという条件が揃っているんです。しかもオーデマ ピゲは世界三大時計ブランドといわれる老舗でありながら、常に革新し続けている。歴史、クラシックを大切にしながら、進化し続けるのは、自分も同じ。オーデマ ピゲの時計を着けていると、“彼ら”と競争しているような気分になるんです。負けたくない。まだ似合う自信はない。でもオーデマ ピゲを着けているという責任感はあります。似合うようになりたいと思って、日々料理と向き合っています」

日本人シェフ初の三ツ星はフランスでも大きなニュースに。
レストランKEIは、いまやパリでも有数の「予約のとれない店」となった。
初代ロイヤル オークの復刻モデル

小林シェフがはじめて購入したのは、「ロイヤル オーク “ジャンボ” エクストラ シン」。2012年に40周年を記念して発売されたモデル。いまでこそブランドを代表するモデルとなったロイヤル オークだが、1972年に発表されたときは、その革新的なデザインと存在感で賛否両論を呼んだという。だが、もっとも大きな話題となったのは、高級時計としてはじめてステンレススティールを素材に用いたこと。高級時計=ゴールドという常識を覆したはじめてのモデルだった。

「僕は“なぜ?”と思って、その理由を考えることを大切にしています。この時計は48年前のモデルの復刻なんですが、いま見てもすごくかっこいい。“なぜ、時代を超えることができたんだろう?”という理由を知りたくて購入しました」

「オーデマ ピゲは世界三大時計ブランドといわれる老舗でありながら、常に革新し続けている。歴史、クラシックを大切にしながら、進化し続けるのは、自分も同じです」
オープンワークの進化版

2本目は、「ロイヤル オーク ダブルバランスホイール オープンワーク」。二つ星を獲得した記念に購入したモデルは、2つのテンプとヒゲゼンマイを同軸上にセットすることで精度が飛躍的に向上している。スケルトンになったフェイスからは、ムーブメントの精緻な動きを眺めることも可能だ。

「従来のロイヤル オークのデザインを踏襲しながら、ムーブメントだけを進化させたモデル。フランス料理の真髄を大切にしながら、新しい料理をつくりたいという僕の思いと共通しています。テンプが2つあることでより精度が高まるというのも勉強になりました。自分が1人でやるより、右腕になるような仲間を育てたらよりKEIの料理も安定するんじゃないかと。この時計を着けるようになってから、人を育てるということを意識するようになりました」

前に進み続ける男が選んだ3本目の時計は、「ロイヤル オーク オフショア クロノグラフ」。いまいちばん愛用しているこの時計を選んだ理由と、そこに込められた思いについては、後編で紹介したい。

二つ星を獲得した記念に購入した「ロイヤル オーク ダブルバランスホイール オープンワーク」。「この時計を着けるようになってから、人を育てるということを意識するようになりました」。

小林 圭
1977年生まれ、長野県出身。長野、東京で修行を重ね、1999年に渡仏。南仏やアルザス地方のレストランで経験を積み、パリの「アラン・デュカス・オ・プラザ・アテネ」へ。2011年、レストランKEIをオープン。翌年、ミシュランガイドフランス版で一つ星を獲得。今年、日本人として初となる三つ星を獲得した。

レストランKEI公式サイト

Produced by

GQ JAPAN

for Audemars Piguet

BACK NUMBER

MY AP STORIES

記事一覧へ

STORE

店舗で商品を見る

  • STORE01
  • STORE01
  • STORE01
お問い合わせ
お問い合わせ