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「この時計を読み解くことで、現代における“時”の重要性を知ることができる」
コードクリード 代表取締役社長・富田拓朗

2021.10.29

バーニーズ ニューヨーク銀座本店3Fで展開している「バーニーズ カフェ バイ ミカフェート」にて。
バーニーズ ニューヨーク銀座本店3Fで展開している「バーニーズ カフェ バイ ミカフェート」にて。

私たちの生き方、価値観は今、大きく変化している。「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ」は、そんな時代の流れを察知していたかのように登場し、支持を得ている。その理由は、果たしてどんなところにあるのだろうか? 所有者のひとりである富田拓朗さんの言葉から、その真意を読み解く。

ビジネスも趣味も全力でやり尽くす

「僕はこの惑星、この星のことがすごく好きなんです。1900年代から2000年代のこの時代に僕たちが生きられている価値って、それだけで本当に、何にも代えがたいと思います」

近代における機械文明の恩恵を受けた製造背景が支えてくれる、あらゆるプロダクト、そしてサービスが究極にきわまっている今。人類史上、もっとも豊かといっても過言ではないこの“時”に生きられていることは、とてつもなく素晴らしいと話す、富田拓朗さん。

若くしてプログラマとして頭角を現し、インターネット黎明期に多くのサービスを立ち上げ、成功へと導いた。いわゆる“IT長者”にカテゴライズされることの多い富田さんだが、その“けれんみ”のない表情や口調から、冒頭のコメントはビジネスも趣味も全力でやり尽くしたからこそたどり着いた本心なのだろうと感じさせた。

そして、現在も数多く手がける事業のなかにあって、この星、言い換えるなら現代社会に相対する思いを強く感じさせるのが、ここ「ミカフェート」。コーヒー生産者への技術支援からコーヒー本来の品質を向上させ、コーヒーの価値を上げて新しい文化を発信する企業であり、富田さんは出資者として、また取締役副社長としてコーヒーを通じてサステイナブルな社会の実現を目指している。

ミカフェートは社会貢献性が高い企業

「コーヒー好きの家庭で育ったこともあり、常日頃からおいしいコーヒーが飲みたいと思っていたところ、ミカフェートを創業したばかりのJosē.川島良彰(社長)と出会ったんです。話を聞くと、コーヒーに対して一切の妥協を許さない人で、本当にコーヒーに命をかけていた。そして実際のコーヒーはというと、これまでに飲んだことがないくらいにおいしい。これは愛飲したいと、現在はGINZA SIXの『GRAND CRU CAFÉ GINZA』でおこなっているコーヒーセラーオーナー制度のメンバーになりました。ところが、実際にはこちらが豆を売ってほしいとお願いしても、収穫量や会社経営などいろいろな問題で、規定量以上に売れる豆がないと。Josē.川島のコーヒーにかける情熱を知っていましたし、それならば僕も協力したいという思いで出資をしました。内部の人間になれば、自分の好きな銘柄を好きなだけ飲むことができるという下心も少しはありましたが(笑)」

最後のコメントは半分冗談として、今まではおいしいコーヒーを飲むだけに幸せを感じていた富田さんは、コーヒーの国際相場に振り回される生産国の現状を目の当たりにし、コーヒーによって社会に貢献することができるのではないかと実感します。

「ミカフェートのコーヒー豆はすべてダイレクトトレードで仕入れていて、仲介業者を通さずに直接、生産者と取引しています。そのため、ミカフェートが独自に策定した品質ピラミッドのスペックに合ったコーヒーを生産者に作ってもらうことができます。ミカフェートのパートナー農園は、SDGsに積極的に取り組み、そこで働く労働者の生活環境の改善や子弟の教育も怠りません。

また、大虐殺の記憶が残るルワンダでは、平和構築の一環としてコーヒー産業を健全化するJICAプロジェクトのアドバイザーを務めています。タイの王室財団が進めている、少数民族が関わっていたアヘン栽培からの脱却プロジェクトでは、産地に赴いてコーヒーへの転作指導をしていますし、キューバでは19世紀に植えられ、忘れ去られていたティピカというコーヒーの木を密林から発見することに3年がかりで成功しました。今後、キューバ政府と一緒に忘れ去られた19世紀のティピカ復活プロジェクトを開始する予定です」

投資家でもある富田さんは、この社会が持続するための活動を本気で行っている企業を1社でも多く社会に残していくことが、目先のキャピタルゲインよりも、はるかに大切なことだという。

「地球温暖化による天候異変によって病虫害の発生が著しく増え、コーヒー栽培とその経済に厳しい影響を与えています。いまは、生産者が経済的に安心して、栽培に集中できるような市場をつくることがとても重要なんです。生産者がサステイナブルになることによってのみ、我々もおいしいコーヒーが飲み続けられるからです。今では、このミカフェートを残しつづけることが、僕が大好きなこの星の健全性を守ることにつながるのだろうと、本気で考えられるようになりました」

時計は“天文学の友だち”

ヴィンテージウォッチのコレクターとしても知られる富田さん。中学生の頃に初めて時計に興味をもち、21歳で起業してからは、さらに時計の魅力に取りつかれた。そして今なお「時計」というものに心を奪われつづけている理由を、富田さんはこんなふうに話してくれた。

「いま僕たちがこの地球という星から授かっている恩恵に思いを巡らせると、やはり歴史というものをひも解きたくなる。僕は、時計は“天文学の友だち”だと思っているんです。たとえば“時間”という概念ができあがったのは、地球の歴史を考えたら最近の出来事です。ましてや1時間が60分となったのは人類の歴史から鑑みるとごく最近。僕たちのあらゆる概念や価値観は、その正確なリズムに、暦というものに、時間というものに、ぴったり合わせてつくり上げられています。これは天体の上に存在している肉体として、物理的に活動している状態をフォーマット化したものだとも言えます。そう考えると、プリミティブな世界から、今のこの社会を形づくることができた最大の要因は“時間”という概念そのものだと思います。そしてこの社会をこれほどまでに発展させる原動力として、多くの人々の“拍子(リズム)”を合わせることが出来たのは、みんなが所有している“時計”という存在そのものだと、僕は思っているんです。

僕はなぜ、20代の頃から時計に惹かれてきたのかなと、あらためて考えてみると、やはり“力”の象徴だったのかもしれません。その意味合いというのは、近代における“時”の意味性の高さです。自分自身がこの近代社会の仕組み、枠組みのなかで、より精密に、正確に、強くありたいという思いが、時計というものに気持ちを向かわせていたのかもしれません。まだ何も知らなかった頃に、いい時計をすれば、自分がよりよくなるんじゃないかという、無知であるが故の漠とした思いがあったというか。あらためて考えると、現在のウォッチデザインの在り方、つまり“力”のある時計というのは、“時間”という概念の礎を築いてきた人たちの思想をしっかり汲み取れ、継承しているかがとても重要な要素だと感じます。このエッセンシャルな意図を、如何にして時計という、限られた空間の中に籠められた表現として成り立たせるか。僕が惹かれる時計は、その表現から設計思想や、そもそもの“時間”に対する取り組み方を読み解くことができるような時計なんです」

音楽でいうところの「変拍子」

200本近くにものぼるという富田さんの時計コレクションにあって、思い入れのある時計のひとつが、2019年にオーデマ ピゲが満を持して発表したシリーズ「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ」だ。

「この『CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ』は、向かい合ってみると、すごく読み解く楽しみがある時計です。オーデマ ピゲは『BREAK THE RULES』というキーワードを打ち出していますが、では、その“ルール”とはなんなのか。時計そのものにどんなルールが必要かというと、まずはやはり12時間ないし24時間で時針が一周すること。これはもう原則です。そしてもうひとつは“調和的”であるということです。僕たちのなかに刷り込まれている意識の有り様として、“美しい”と感じるものは天体の動き同様に調和的であるとされている。ゆえに、ベルト、ラグ、文字盤、ベゼル、リューズ、プッシャー、それぞれのインデックスや針の形や仕上げに至るまで、それらをどうアンサンブルさせるかということが、ずっとながらく、時計業界のチャレンジのひとつだったと思います。

『CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ』は、そんな調和的な世界をくずさずに『BREAK THE RULES』を成り立たせた数少ない時計、そして非常に“日本的”な時計だとも、僕は思っています。たとえば、バロック以降のクラシックというのは、平均律から生み出されるシンフォニカルたりえる音楽です。調和的で安心できる音楽は、一定の拍子であることがほとんど。ところが、この『CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ』は、音楽の世界でいうところの“変拍子”に当たる。そして、日本のリズム、具体的にいえば『能楽』も変拍子です。能楽の笛や太鼓が奏でるリズムは西洋音楽とは異なった趣きであれども、心に響く美しさがあります。クラシック音楽のなかにも『展覧会の絵』や『春の祭典』など、変拍子であっても違和感なく、ひとつの“美”を感じる楽曲が存在します。そしてその“美”を表現するのに、もう今までの五線譜に捕らわれる必要は無いのかもしれません。時計だってそうです。奇抜なことをしたとして、ここまで美しく成り立っている時計って、僕は『CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ』以外に見たことがありません。

中空構造になったラグ、湾曲したサファイアクリスタルガラスの風防など、この時計にはチャレンジングな意匠がふんだんに盛り込まれています。そんなデザインや構造を自分のなかに取り入れて、『なぜこうなっているんだろう?』『どういう意味があるんだろう?』と、その意味性を解釈して読み解くためには、たくさんの材料を自分のなかにもつことが必要だと思います。この時計を読み解く際に心がけているのは、施されている技術的な“こと”にとらわれず、その本質を感じ取ること。僕には、この時計は天文学の要素を色濃く反映している、シンフォニカルな存在に見えています。天文学を突き詰めたうえで、この物質世界において“時”がどんなふうに作用しているか、それを表しているように思います。

だから、この『CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ』を身に着けたい、身に着けられるような人間になりたいというのは、人類の可能性が飛躍的に拓かれようとしているこのタイミングに、自分自身の在り方を確認するという意味でも、とても大切な意識のもち方かもしれませんね。この時計には、たくさんの読み解くべき余地があるように感じます。身に着けてその存在感を感じ、日々、楽しく読み解いていきたいと思っています」

富田拓朗(Takuro Tomita)
1971年 京都府生まれ。コードクリード代表取締役社長、ミカフェート取締役副社長。機械語を含む10以上のプログラミング言語を自在に操るプログラマとして、インターネット黎明期に数多くのサービスを立ち上げる。ほかにも写真家、デザイナー、CGIアーティスト、経営者、投資家、コーヒーエバンジェリストなど幅広い肩書きをもつ。また、SP/LPレコード、オーディオ、カメラ、ヴィンテージウォッチをはじめ、多岐にわたるジャンルのコレクターとしても知られる。

https://www.mi-cafeto.com/

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