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時計のはなし

腕時計好き
ファッショニスタが選ぶ
BEST AP 2020

STORY 6
アーティストのバーバル氏とホワイトマウンテニアリングのデザイナー相澤陽介氏をお招きし、ファッション好きな時計ジャーナリストとともにオーデマ ピゲの2020年の新作モデルを総括。AP愛用者であり、日本を代表するファッショニスタたちが選んだ2020年発表のAPベストウォッチとは。
Photo:Koutarou Washizaki 
Hair&Make(VERBAL):Go Takakusagi(Vanites) 
Words:Tetsuo Shinoda

JUDGES

  • PROFILE
    VERBAL
    バーバル/アーティスト

    「ロイヤル オーク オフショア サバイバー クロノグラフ」や「ジョン シェーファー・ミニッツリピーター」など、マニアックかつ個性派モデルを好むオーデマ ピゲの目利き。本日は白ダイヤルの「ロイヤル オーク オートマティック」を着用している。

  • PROFILE
    YOSUKE AIZAWA
    相澤陽介/ホワイトマウンテニアリング デザイナー

    業界の先輩が愛用していた小径の「ロイヤル オーク オートマティック」に影響され、2019年に現行の41㎜径モデルを購入。グレーダイヤルを選んだのは、ロイヤル オークのラインナップになかった新色だったから。目下のところ、エース級の活躍とのこと。

  • PROFILE
    MITSURU SHIBATA
    柴田充/時計ジャーナリスト

    今回参加メンバーのなかでも“昔”と“今”のオーデマ ピゲを知る業界のベテラン。20年ほど前に取材で訪れたミラノのファッショニスタたちが身に着ける「ロイヤル オーク」に衝撃を受け、それまでの世界三大高級時計の印象が一転。時計の新しい魅力を知る。

  • PROFILE
    TETSUO SHINODA
    篠田哲生/時計ジャーナリスト

    “普通の時計の最高峰とは何か?”をテーマに様々な時計を比較検討し、10年ほど前に購入した「ロイヤル オーク オートマティック」は、オリジナルと同じ39㎜径。ベゼルやブレスレットの磨き、ケースのプロポーションなど、全てが理想的だと考えている。

10 CHOICES

やっぱり「CODE 11.59
バイ オーデマ ピゲ」は凄かった

篠田 2020年もオーデマ ピゲからは多くの新作が発売されました。そこで今回は、代表的な新作を10本用意していますので、ざっくばらんに感想を述べあっていきましょう。やはり最大のトピックは、2019年にデビューした「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ」のバリエーションが増えたことでしょう。特にカラー展開が話題になりました。

相澤 「① CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ クロノグラフ」のブルーが綺麗ですね。ゴールドケースって一歩間違うと派手になりすぎますが、このブルー×ゴールドの色合わせは知的な雰囲気がある。

柴田 クロノグラフは積算計や針などデザインの要素が多くなってしまいますが、配置のバランスが良いのか、シックでクラシカルに見えますよね。

バーバル クロノグラフが好きでクラシック顔も好きな僕としては、気になるモデルです。でもコンビの「② CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ クロノグラフ」も面白い。ミドルケースがバイカラーになることで、三層のケース構造やミドルケースの8角形の形状がさらに強調されている。こういう細部の磨きが雑だと高級感を損ねてしまいますが、バイカラーにして強調させているというのは、仕上げや磨きの技術力の自信の表れですね。

相澤 ホワイトゴールドとピンクゴールドの色が、交互に目に飛び込んでくるのが面白いですね。

篠田 時計業界では、カラーエクステンションは保守的な戦略だととられがちですが、オーデマ ピゲは新しい表現としてカラーを取り入れているように思えます。このバーガンディ色の「③ CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ オートマティック」なんて、まさに新しい高級時計のスタイルを提案していませんか。クロノグラフと比べてよりダイヤルがすっきりしているので、色の美しさが強調されています。

相澤 雑誌の表紙でこの時計を見てから、ずっと実物の時計を見たかったんです。僕自身もバーガンディ色のアイテムが好きで、自身のブランドにも必ず取り入れています。といってもスタッフには止められるけど(笑)。それくらい難しい色っていうイメージがあるけれど、実はバーガンディは黒にも白にも似合う、“相棒向きの色”だと思います。

柴田 確かに僕が今日着ているニットも同系色ですし、ネクタイやチーフに取り入れる人も多いですよね。バーガンディ、いいですね。

バーバル まさにファッション的に楽しめる時計ですね。僕のオーデマ ピゲとの出会いは「ロイヤル オーク」でしたが、こういう華やかなモデルからオーデマ ピゲというブランドを知ったら、また違った印象を受けるでしょうし、その奥深さに驚くでしょうね。

スタイルは普遍。
しかし表現は多様に

篠田 今回は奇しくも4人とも「ロイヤル オーク」の愛用者でしたので、その新作もチェックしていきましょう。そもそも「ロイヤル オーク」は1972年にデビュー以来、現代までスタイルがほとんど変わっていない。我々の時計も、作られた時期やサイズ、色はバラバラですが、共通したスタイルがあるので見比べるだけでも楽しいですよね。この「④ ロイヤル オーク オフショア クロノグラフ」も同様ですが、素材やカラーリングを変えただけで雰囲気ががらりと変わるのは面白い。

バーバル ブルーセラミックのベゼルが印象的ですね。まさに“映えそう”な時計です。これなら誰からもオフショアだとわかってもらえるでしょうね。ただ、セラミックベゼルの発色が良すぎて、写真だとこの高級感が伝わらないかも。ディテールまでしっかり作り込んでいますし、これは絶対に実物を見てほしい。

相澤 パンチがありますよね。こういうポップな時計もうまく取り入れるのがオーデマ ピゲの凄さですね。歴史を継承するドレッシーさもあれば、こういうポップさもある。デザイナーとしては、ここまで両極の個性を表現するのはかなり難しいこと。オーデマ ピゲの場合は、「ロイヤル オーク オフショア」がそういう役回りを演じていますね。

柴田 この色に目を奪われがちですが、実はインデックスもアラビア数字にしてスポーティさとポップさを加えています。ここがソリッドなバーインデックスなら、また違った印象になったはずですから、トータルでよく考えられていますね。

篠田 “ドレッシーなAP”となると、34㎜径の「⑤ ロイヤル オーク オートマティック」も面白いですよね。33㎜径のクォーツ式もありますが、これは機械式。サイズ的にもレディスウォッチとして登場したのですが、これなら男性が使ってもいいと思いますよ。実際に男性が買っていく事例も多いようですし。

バーバル コレ最高ですよ。古い時計が好きで、ネットで色々調べているのですが、こういった小径モデルがたまに見つかる。以前は大型モデルが好きでしたが、徐々に小ぢんまりとした時計が好きになりつつある。小さいけど華奢ではないのもいいですね。

柴田 このサイズでラウンドケースだと、クラシックで古めかしくなりすぎる。しかしこれなら小さくてもモダンに見えますよね。

相澤 若い時は大きな時計で自分をアピールしたかったけど、大人になると小さな時計をさりげなくつけるというのもテーマになってきますよね。僕は体が大きいので、時計のサイズ感には特に気にしています。体が大きな人が大きな時計をつけると、インパクトがちょっと強すぎるでしょ。だから小さめの時計にも挑戦したいんですよね。特に、イタリアのファッションブランド「ラルディーニ」と仕事をするようになったこともあって、ジャケットに合わせるような、小さなサイズが気になりつつある。

篠田 となると、例えばこの38㎜径の「⑥ ロイヤル オーク クロノグラフ」なんていかがです?

相澤 なるほど、これは挑戦したくなるサイズですね。

バーバル クロノグラフ自体は男性的な機構ですが、ベゼルのみダイヤモンドをセッティングするという華やかなバランスもいいですね。

柴田 こういう時計は、特別なモノとするのではなく、逆に毎日使って楽しみたい。多少の傷が“時間が作り出した雰囲気”になり、より魅力的に見えそうです。

篠田 しかし同じ「⑦ ロイヤル オーク オートマティック」でも、ここまで華やかに宝石をセッティングすると、また違った印象になりますね。

柴田 ダイヤルのグラデーションは、色の異なるオレンジサファイアで作っている。凄い技術ですよね。

バーバル 職人のタッチがわかる時計になりましたね。

相澤 これはもはや宝飾品。時計を超えていますよ。

愛好家の心を揺さぶる
特別な腕時計たち

篠田 オーデマ ピゲといえば、ハイコンプリケーションモデルも毎年話題になります。まずは「⑧ リマスター01 オーデマ ピゲ クロノグラフ」から見ていきましょう。これは1943年にわずか9本しか作られなかったという希少なクロノグラフを現代的に“リマスター”したもの。“復刻”じゃなくて、現代の時計技術をしっかり取り入れているってことですね。

バーバル この時計の元となった1943年製のクロノグラフが凄く好きで、この「リマスター01 オーデマ ピゲ クロノグラフ」の実物を、見るのが楽しみでした。ダイヤル上のロゴなどもいい感じに再現できていますね。

相澤 正直、今一番欲しい。アンティーク派の友人からも、強くお勧めされました。

柴田 分の積算形が45分計なっているのは、当時の社長がサッカー好きだったかららしいですよ。それこそサッカーとの関わりが深い相澤さんにぴったりじゃないですか。

バーバル 歴史を知り、ストーリーと一緒に楽しみたいですね。

篠田 ファッション的にはどう合わせればいいのかな?

相澤 ネイビーやキャメルのアイテムと合わせるといいと思う。ロエベやジルサンダーとの相性がよさそうですね。

柴田 オープンワークの「⑨ CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ フライング トゥールビヨン クロノグラフ」も素晴らしいですね。CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲは、2019年のデビューの時点で、シンプル系からミニッツリピーターまで13モデルもフルインナップしていましたが、まだまだハイコンプリケーションの拡大が止まりませんね。

篠田 ムーブメントブリッジの磨きは、とにかく見事ですよ。

バーバル (キズミを使ってじっくり時計を眺めながら)表現が多彩ですね。「ロイヤル オーク」からオーデマ ピゲを知った側からすると、“らしくない”時計ですが、やがてこれが定番になっていく。そんな印象があります。

相澤 (同じくキズミを使ってじっくり時計を眺めながら)ケースの厚みがあるので、ムーブメントの階層が見える。メカニズムの動きや構造を想像させますね。トゥールビヨンモデルは、いつかは所有したい。だから「⑩ ロイヤル オーク コンセプト トゥールビヨン クロノグラフ オープンワーク」も気になりますね。

バーバル オープンワーク、機構、仕上げの全てが揃っている。ワクワクしますよね。

相澤 スマートウォッチは便利さから生まれたモノですが、機械式時計はそれこそリサーチができない時代に生まれたもの。情報がないからこそ想像性が加わるし、イメージと言葉が綺麗にリンクしている。

柴田 「ロイヤル オーク コンセプト」はスマホのない2002年に始まったモデルですし、そういった近未来感が上手く残っている。オーデマ ピゲの未来がここにあります。

篠田 コロナ禍であっても高級時計が売れているのは、こういった状況だからこそ、想像性を発揮してワクワクしたいからでしょうね。では最後に、2021年のオーデマ ピゲに期待することを教えてください。ちなみに僕は、「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ」のコンビスタイルの進化ですね。ゴールド×セラミックなど異素材ミックスにも期待しています。

バーバル オーデマピゲが開発した「スターホイール」という機構をぜひ復刻して欲しいですね。それこそ「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ」にも合うと思う。

相澤 僕は小径の「ロイヤル オーク」ですね。41㎜径の現行モデルもいいのですが、36㎜径くらいのモデルがあったら、対比して楽しめそう。

柴田 僕は「リマスター01 オーデマ ピゲ クロノグラフ」。“01”というからには“02”もありそう。何が出るかは予想もできませんが、そうやって考えることが楽しいんですよね。2021年もオーデマ ピゲには大いに期待したいですね。

MY BEST AP 2020