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「『CODE 11.59 by Audemars Piguet』を迷うことなく買いました」
木材加工集団「TIMBER CREW」代表・小久保圭介

2020.06.30

地下1階は木材をカットし、組み立て、塗装するスペース。「作業場というよりも、アートと音楽を愛する空間ですね」。
地下1階は木材をカットし、組み立て、塗装するスペース。「作業場というよりも、アートと音楽を愛する空間ですね」。

オーデマ ピゲが昨年26年ぶりに発表した新シリーズ『CODE 11.59 by Audemars Piguet』。木材のエイジング加工という特殊な技術を必要とする領域に挑戦し続ける木材加工集団「TIMBER CREW」代表の小久保圭介さんは、愛する息子に引き継ぐためにこの時計を選んだと語る。

ブランドの歴史、物語に共感

『CODE 11.59 by Audemars Piguet』の“11.59”は、日付が変わる直前の時間を意味する。老舗時計ブランドであるオーデマ ピゲがまさに時代を変えようと2019年に発表したこの新作は、洗練された雰囲気からビジネスパーソン向きなのではないかと、勝手に思い込んでいた。

だが、カジュアルな服装に身を包んだ木材加工集団「TIMBER CREW」代表の小久保圭介さんの男らしさを感じさせる手首に時計が輝いているのを見て、考えを改めた。

「今年の1月、打ち合わせで銀座に行ったとき、少し時間があったのでオーデマ ピゲのブティックに寄ってみたんです。有名な『ロイヤル オーク』を見てみたいと思っていたんですが、ショーウインドウに飾ってあった『CODE 11.59 by Audemars Piguet』のクロノグラフに目を奪われました。とにかく黒の文字盤が美しくて、吸い込まれるような感覚。スタッフの方からオーデマ ピゲというブランドの歴史、受け継がれてきた物語を聞いて、ほぼ衝動買い(笑)。僕には息子が2人いるんですが、自分の会社を受け継いでほしいとは思わないし、資産は1円たりとも遺すつもりはない。でもなにか自分の魂のようなものを彼らに引き継ぎたい。時計はそのために買うんです。ちょうど会社も10年目を迎え、新しい取り組みにチャレンジしようと思っていたタイミングだったので、『CODE 11.59 by Audemars Piguet』に込められたブランドの思いにもすごく共感しました」

小久保さんにとっては“秘密基地”でもある「TIMBER CREW」はバーカウンターも備える。
Tシャツ&ジーンズにも合う

作業をするとき以外は、ほとんどこの時計をつけているという。

「変にギラギラしていないので、さりげなくつけられる。普段はTシャツにジーンズばかりなんですが、まったく違和感はない。でもクライアントのパーティなどでジャケットを着るときでもしっくりと似合う。僕はクロノグラフが好きなんです。上品なんだけど、ちょっと男らしい感じが気に入っています」

現在、44歳の小久保さんが職人の道を目指したのは、高校生のとき。父は銀行員、母は専業主婦という“ごくふつう”の家庭に育った彼は、実家の庭の手入れをする造園業の職人を見て「こんな仕事をしたい」と思ったという。

「もっと小さいときは、世界をめぐる探検家になりたいと思っていました。キャンプが好きで、ものづくりや土いじりが好きだったので、自分にぴったりだと。24歳で個人事業として始めてからは、造園とか庭のウッドデッキを作る仕事がメインでした。でも2015年に内装デザイナーから木材のエイジング加工を依頼され、それからはそっちが事業のメインになったんです」

3階は塗装・仕上げのためのフロア。木の表面に傷や打痕といった表情をつけて絶妙にエンジング加工する。
未開の地を進む

職人の仕事は、木材を傷つけないようにピカピカの状態で完成させるのが常識だ。その正反対、傷をつけ、古びたように見せるというのは、小久保にとって大きなチャレンジとなった。

「デザイナーからは、『廃校の体育館の床』とか『西海岸の風に吹かれた小屋の床』とか『NYの美術館の床』とかややハードルの高い注文ばかりくるんですよ(笑)。行ったことも見たこともないから写真集とか見ながらイメージして。誰もやったことがない加工だから道具もないんです。ヒールでついた足跡とかこんなかなとか独学で工夫してやっていました」

それまで古い木材を使おうと思うと、イメージに近いものを探すしかなかった。だが小久保さんは、デザイナーが思うような木材をエイジング加工で作ることを可能にしたのだ。その仕事ぶりはたちまち評判となり、多くのクライアントから声がかかるようになる。銀座の老舗百貨店からセレクトショップまで、ファッションだけでなくライフスタイルの提案力で支持されている取引先が多い点がユニークだ。

「この仕事の喜びは、やっぱりお客さんが喜ぶこと。僕らの仕事はほとんどがオーダーメイドなので、イメージ通りに仕上げるとお客さんの顔が明るい笑顔になるんです。逆に少しでも違ったなと思ったら、床をぜんぶはがしてやりなおすこともあります。とにかくお客さんが満足するものを作りたいんです」

工房ではTシャツにワークパンツやデニムが基本スタイル。打ち合わせ時には写真のようにジャケット&パンツスタイル、スニーカーに愛用の「CODE 11.59 by Audemars Piguet」を合わせる。
遊びも本気、な仕事人

好きなことを追求し、遊びのような感覚で仕事をする。でも「遊びも本気」が小久保さんのモットー。だからこそ、「TIMBER CREW」への依頼はあとをたたないのだろう。

「これから『TIMBER CREW』で飲食や造園、キャンプ場などに挑戦したいと思っています。ぜんぶ遊びの延長だけど、本気です。自分が楽しいから必死で打ち込める。オーデマ ピゲの職人も楽しんで時計を作っているんじゃないですかね」

この時計は、ビジネスパーソンに似合う。だが、こだわりの職人にも似合う。時代を変えようと懸命に生きるすべての男の手首に似合うのだ。

3階の休憩スペース。ロッカーには、職場でのTシャツなどオリジナルで作成したスタッフのユニフォームが並ぶ。ワークスタイルにもファッション感覚を忘れない。

小久保 圭介(Keisuke Kokubo)
代表の小久保圭介さんが、床材に傷や打痕をつくって塗装をかける独自の技法でエイジングを表現する木材加工集団「TIMBER CREW(ティンバークルー)」を創業したのは2012年。東京・調布市深大寺の工房では、14人のスタッフが毎年オリジナルで作るTIMBER CREWのTシャツ、デニム、キャップを身に付けて作業する。

timbercrew.co.jp
Instagram:@timber_crew

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GQ JAPAN

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